苦心して設計した建物が竣工するのはうれしいものだ。でも自分のモノのような気がしていた住宅が実はお施主さんのモノなのだと思い知らされる時でもある。竣工引き渡しの時は何とも娘を嫁にやるような感覚になる。(娘も居ないし嫁にやった事もないけどさ)
そう、竣工の時期が近づく5月の晴れの日。もうすぐ晴れて業務完了!というような時に施主から一本の電話。
施主「ssさん。完了検査、受けたいです」
ss「マジっすか・・・(凍)」
またあの役所に行くのか、主事に会うのか、検査担当に会うのかよ・・・ しかし断る事は出来ません。僕は別になんの違法行為もしてませんし、やましいことは一切ない。堂々と受けましょう。完了検査。
検査当日
普通は、建物の敷地からの離れ距離をはかってプラン通りに建築されているかを確認し、ちゃんちゃんOKで終わる。建物の高さも重要なところだけど、普段あんまり計ったりしない。めんどくさいからである。
しかし、今回の検査官はちがった。高さを計り始めたのである。
高枝切りハサミみたいなスルスルのびる棒の先にフックがあって、ここを建物の軒先に引っ掛けて棒の下を地面につけると手元のメータが何メートルあるか表示するのである。
設計どおり建ってるし問題ないっしょ。っていう気で見てたら検査官二人でなにやらゴソゴソ言っている。
検査官A「ssさんちょっといいっすか」
ss「え?はい?」
メーターを覗き込むと5640と示してあった。
検査官B「確認 5590ですよね」
ss「え、ええ(凍)」
お分かりだろうか、確認申請で建物軒高5590mmと申請しているにも関わらず、実際の施工された高さが5640mm。つまり5センチ高いのである。しかーも!この軒は北側。北側斜線限界が5630と記してあるので高さが高いどころか、北側斜線に引っかかっとる!(爆泣)
違法建築には赤い紙が張られると言う噂を聞いたことがある。 この家にもそんなの張られるのかなぁ、施主になんて説明しようかなぁ。建物削って低くしろとか言われるのかなぁ,
15秒ほどの沈黙の後
検査官A「オッケー!」
検査官B「よしっ!」
ss「(はぁ?)」
通常5センチぐらいは施工誤差として認められるが今回は北側斜線。許されないだろうと思っていたのに。僕が思うにめんどくさいのだ、北側隣地の住人が出てきたら最悪だし、今後の書類の処理とか、面倒な事はないにこした事はない。
ss「(ちょ〜ラッキ〜。でもあんたら何しに来てるんだよ(爆))」
晴れて完了。竣工。
そして今お施主さんは3人家族で楽しく暮らしています。(笑)
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